【グランドノイズ】 (XS)
例えば、地球が回転する音が聞こえたら、ひとは誰ひとり心安らかに眠ることなど出来ないだろう。
己の鼓動を子守唄にして眠るつむじを見下ろして、ザンザスは思う。そこから流れ出る銀色は月明かりに反射して目に煩い。混じる白色は月明かりを溶かすようにやわい。
いつの間にか、この命もずいぶんおとなしくなったものだ。
だけれど、相も変わらず口を開けば同じようなことを言う。
「アンタがオレの世界だ」
馬鹿馬鹿しい。
そうだ、馬鹿馬鹿しいほど煩わしかった。馬鹿馬鹿しいほどに、必要だった。
「…いつになれば気付く…?」
口角がほんの少し上がる。薄い豊齢線が彼が笑んだと告げる。
大きな掌が、収まりの良すぎる小さな頭蓋を撫でる。
もし明日突然、地球が回転する音が聞こえるようになったとしても、きっとこの頭は眠る必要が有るときには眠るのだろうと思った。
かわいそうに、中身も小さいだろう頭を撫でる。そうすると身じろぎ、高い鼻筋を胸元へ擦り付けてくる。目を覚ます気配はない。鼻腔をくすぐる淡い体臭と石鹸の匂いに、目蓋が重くなった。
もしも地球が回転する音が聞こえるようになったら、自分は眠れないだろうとザンザスは思う。
重力に逆らわず、目蓋は落ちた。
聞こえるのはスクアーロの鼓動だけ。
それは、世界の鼓動なんかじゃない。
重なるザンザスのそれも、ただのザンザスの鼓動。
―――――【グランドノイズ】2010.07.02
己の鼓動を子守唄にして眠るつむじを見下ろして、ザンザスは思う。そこから流れ出る銀色は月明かりに反射して目に煩い。混じる白色は月明かりを溶かすようにやわい。
いつの間にか、この命もずいぶんおとなしくなったものだ。
だけれど、相も変わらず口を開けば同じようなことを言う。
「アンタがオレの世界だ」
馬鹿馬鹿しい。
そうだ、馬鹿馬鹿しいほど煩わしかった。馬鹿馬鹿しいほどに、必要だった。
「…いつになれば気付く…?」
口角がほんの少し上がる。薄い豊齢線が彼が笑んだと告げる。
大きな掌が、収まりの良すぎる小さな頭蓋を撫でる。
もし明日突然、地球が回転する音が聞こえるようになったとしても、きっとこの頭は眠る必要が有るときには眠るのだろうと思った。
かわいそうに、中身も小さいだろう頭を撫でる。そうすると身じろぎ、高い鼻筋を胸元へ擦り付けてくる。目を覚ます気配はない。鼻腔をくすぐる淡い体臭と石鹸の匂いに、目蓋が重くなった。
もしも地球が回転する音が聞こえるようになったら、自分は眠れないだろうとザンザスは思う。
重力に逆らわず、目蓋は落ちた。
聞こえるのはスクアーロの鼓動だけ。
それは、世界の鼓動なんかじゃない。
重なるザンザスのそれも、ただのザンザスの鼓動。
―――――【グランドノイズ】2010.07.02